門司港は名前の通り港として明治22年に開港し、大陸貿易の基地として、また国内航路の港町として栄え、当時を偲ばせる建物や史跡が数多く存在します。昔ながらの建物と新しい建物とが融合し「新しくて懐かしい門司港」、「粋でモダンな街、門司港」を創り出しています。また、和布刈地区は瀬戸内海国立公園の一部に指定されており、海峡の雄大な景観を楽しむことができます。由緒ある和布刈神社や関門橋と関門海峡を望む絶景の観光スポットなどの自然が豊富に残されています。一方、関門海峡対岸の下関地区も壇ノ浦の合戦、巌流島の決闘、明治維新の舞台といった歴史と文化、自然に恵まれた観光スポットを豊富に抱えています。門司港と下関を結ぶ交通手段としては、門司港と下関(唐戸)とを結ぶ定期連絡船、和布刈地区と下関(みもすそ川)を結ぶ関門トンネル人道があります。また、下関の唐戸からみもすそ川の間はバスが頻繁に通っています。ところで、門司港レトロ地区と和布刈地区間は2kmちょっとあります。歩くにはちょっと遠いかな、と言う距離です。つい最近まで、門司港駅から和布刈公園をぐるりと回り込んで、田浦港まで臨港線(貨物線)が伸びていました。石灰石、セメントなどを積出港である田浦港まで運んでいたものですが、輸送量の減少に伴い平成17年に休止されました。この休止された臨港線に観光列車を走らせようと考えました。レトロ地区と和布刈地区を観光列車で結ぶことで、両地区の移動は楽しくスムーズなものになります。また、門司港―和布刈公園―下関(みもすそ川)―下関(唐戸)―門司港と大きな周回ルートを創り出すことで、関門の魅力を満喫してもらえるものと期待しています。観光列車は公募により「潮風号」と命名されました。モダンでおしゃれなデザインを、レトロをイメージする落ち着いた重厚な「青」色で装い、小型のディーゼル機関車(DB-10)がトロッコ客車2両をサンドイッチに挟んで走ります。路線名も愛称で「北九州銀行レトロライン」に、4つの駅も「九州鉄道記念館駅」、「出光美術館駅」、「ノーフォーク広場駅」、「関門海峡めかり駅」と名付けられ、平成21年4月26日から走り出しています。